デンタルインプラントの臨床応用(外科的側面から)

1950年代後半にブローネマルク教授がチタンと骨との結合(オッセオインテグレーション)を発見し、1965年に下顎無歯顎患者に臨床応用してから45年の月日が経ちました。その間に手術技術の進歩、様々な新しい術式の開発、診断機器の進化、マテリアルの改良により、インプラント治療はその適応症を拡大してきました。患者の義歯からの解放、予知性の高い治療法として現在では数百万人とも言われる人々に恩恵を与えてきています。また、先天的、腫瘍摘出後、外傷述後の額顔面、口腔器官実質欠損の患者へのインプラントを応用したエピテーゼ、プロテーゼ治療も1980年代から行われるようになり、患者の社会復帰、QOLの向上に役立っています。
私どもの施設でも1992年より、臨床応用をスタートし18年間に約2000人の患者さんに4500本以上のインプラントを用いてまいりました。非常に臨床成績が良く、治療の終わった患者さんから 「人前で気にせず話ができる。」「歯の事を気にせず食べられる。」「家族と同じ物が一緒に食べられる。」とお話しをお聞きする機会が良くあり、ただ単に咬めるようになるだけでなく、自信の回復、QOLの向上に貢献していることを感じています。
 本日は、外科的側面から私が臨床応用してきた患者さんのケースを通じて、より安全に、確実に治療をすすめる為への配慮に関してお話しさせて頂きます。この治療法のご理解、ご興味をより深めて頂けましたら幸いです。